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退屈な日常とか、虚像の世界とか

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「ナミ、おれのこと好きか?」

女部屋で読書をしていたら、それまで黙ってソファに座っていたルフィが唐突にそんなことを行った。

「うん」

その質問に少しだけ視線を上げてこっちを見てくるルフィを見て、ルフィが期待しているであろう答えを言い、再び手元の本に視線を落とす。
しかし、

「ほんとにほんとか?」

ソファから飛び降り、すぐ目の前にきたルフィは繰り返しそう言った。

「ほんとよ」

折角本が良いところなのに、二度も邪魔されて返す声が不機嫌なものになったが、何故かそれ以上にルフィの顔が不機嫌なものになった。
それを不思議に思う間もなく、

「きゃっ!」

手首が掴まれたかと思うと、次の瞬間には視界には無表情に近いルフィの顔と、その後ろに天井が。
押し倒されたことを理解して、抵抗しようとするが両手首はしっかりと握られていて全く動かない。

「ルフィ、何のつもり──────


「好きなら、好きってちゃんと言えよ」


ルフィが言った言葉に開きかけた口が止まる。
そして、その言葉とルフィの行動によって導き出した結論に、思わず笑ってしまった。

「なに、拗ねてたの?」

笑いながらそう言うと、ルフィの頬が赤くなった。
確かに、私は滅多に好きなんて言わない。
それが、ルフィには気に入らなかったらしい。

「っるせぇ」

それが更に可笑しくて、笑いが再びこみ上げてきた。

「で、ナミはおれのこと好きなんだろ?」
「うん」
「じゃあ、言えよ」
「いや」

そう言って舌を出すと、ルフィの目が少し細くなり、それに気づいて体が強張った。
失敗したと思ったときには、唇を塞がれていた。

「ルフ・・・ぃっ!」

次いでシャツの中に侵入してきたルフィの手に、いつもより高い声が出る。

「やめ・・・・・!」
「ナミが言うまで止めない」
「わ、わかった!言うから!!」

いつもより低い、子供っぽさの抜けたルフィの声にほとんど叫ぶようにそう言う。

形勢逆転。
完全に、主導権はルフィに奪われていた。

「~っ」

滅多に言わないが故に、言うのが恥ずかしいが、すぐ前にあるルフィの目が催促をしていて、これ以上待たせると何されるか分からない。
意を決して、息を吸い口を開く。


「・・・・すき・・・・っ!!!」


そのたった二文字を言うだけで、信じられないくらいに顔が赤くなったのが自分でも分かった。
しかし、

「聞こえない」

唇を意地悪くつり上げたルフィから返ってきたのはそんな言葉。

「―っ、私は、ルフィが好きっ!!!」

反論しようとして、しかしルフィの表情でそれが無駄であることを悟って、自棄になって怒鳴るように言った。
言えば、

「おれもナミのこと好きだぞ」

ルフィはそう言って、さっきまでとは違って優しいキスを私の唇に落とし、嬉しそうに笑った。

その笑顔に、言おうとしていた言葉が全部なくなった。
今まで頑なに言うのを拒んでいたのが申し訳なく思えてきて、ルフィに謝ろうと口を開いて、

「って、何してんの!」

出てきたのは、再びシャツの中に手を入れてきたルフィに対する怒鳴り声。

「言ったら止めるって言ったじゃない!」
「んー?聞こえないー」
「ちょっ!ふざけないでよ、馬鹿っ!」

 

 

好きだなんて言わない
(でも・・・・・・たまには言ってあげるわよ)

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今日は、久しぶりの休み。
だからといってしたいこともなく、昨日の任務が久々のAランクだったからか、まだ少し怠い体を休めるために惰眠でも貪ろうかと思っていたら、部屋にやって来た母親に買い物を頼まれ渋々外に出れば、雲一つない空からは太陽の光が燦々と降り注いでいた。
その眩しさと熱から逃げるために影のある場所を選びながらしばらく行くと、

「あ」

川沿いに生えた大木が作る、同様に大きな影の中に寝転ぶ、見知った姿を見つけた。

「ナルトー」

名前を呼び、足早に近付き

「・・・・・・・」

気持ち良さそうにいびきをかきながら爆睡しているナルトをしばらく見下ろし、その横にしゃがむ。

「ちょっと、風邪引くわよ」

いくら暖かくなってきたとはいえ、Tシャツ一枚とズボンという出立ちのナルトに、呆れを多大に含んだ声をかけるがナルトは呑気に寝たまま。
元から返答など期待していなかったから、それはいいが。
それより、

「・・・」

Tシャツから出ている腕に巻かれた白い包帯を食い入るように見つめる。

昨日の任務で負ったその怪我は、すぐに九尾の力によって治ったが、念のためにと私がナルトに包帯を巻かせた。
そういう私はといえば、大きい怪我こそないが、掠り傷などの小さな怪我は何か所にもでき、今もその痕が残っている。


何時だったかに、ナルトが私の傷を見て自分の治癒力が私に働けばいいのにと零したことがあった。
確かに、それは忍びである前に女の子である私からしてみたら結構魅力的な意見だった。


だけど、

 

「んぁ…」

不意に耳に届いた寝ぼけた声に、我に返る。

「おはよ」
「さ、サクラちゃんっ!」

うっすらと目を開けたナルトに声をかければ、慌ててナルトは体を起こした。

「どうしてここにいるんだってばよ!?」
「買い物の途中なの。怪我、大丈夫?」
「え、全然平気だってばよ?」

自分の腕に巻かれた包帯に視線を向けて、ナルトは不思議そうに答えた。

「これくらい九尾の力ですぐ治るってばよ。それより、サクラちゃんこそ大丈夫?」
「うん」

本当に心配そうに訊いてくるナルトが微笑ましくて、自然と笑みが零れる。

「それじゃ、私行くから。寝るのはいいけど、風邪引かないでよ」
「分かってるって。ほんと、サクラちゃんは心配性だってばよー」

ナルトの言葉に小さく笑い、膝に手を当てて立ち上がる。

「・・・そういえば」

踵を返し数歩行ったところで、少し大きめの声を出し、振り返る。

不思議そうに見てくるナルトと視線が合い、すぅと深く息を吸い、


「今度は隠すんじゃないわよ」


思っていたよりも大きく出た声に、ナルトの目が大きく見開かれた。
呆れてしまうほどに狼狽するナルトは口を開き、

 

「私は九尾の治癒力が嫌い」

 

それに被せるように言葉を並べる。
その言葉に、ナルトは口を半開きにしたまま私を見る。

 

ナルトの、九尾の力は。
すぐに傷が癒えるということは、確かに良いことではあるけど。
でも、それは、周りからしたらナルトが傷ついたという事実が分からないということで。

実際、私はナルトが怪我をしても、それが既に治癒しているがゆえに気付かないことが多い。


傷が治癒しているがゆえに。
ナルトがそのことを隠しているがゆえに。

私は、傷によってナルトが苦しんだことを知ることができない。


それは、

医療忍者である私にしたら、とてつもない恐怖で。

 

だから、


「もう隠さないで」


何故か泣きそうな笑顔をするナルトにそう言い、震える唇を噛みしめた。

 

あんたの治癒力には劣るけど、治療をさせて。

傷ついたなら、心配させて。

 

 


キミのためにできること
(どうか、隠さないで)(私が、今できる精一杯のことをするために)

「ナミ」

名前を呼ばれて顔を上げれば、真剣な顔をしたルフィがいた。

「なに?蜜柑ならあげない───

横に置いていた蜜柑の籠を体の後ろに動しながら言葉を返し、


「好きだ」


何の脈絡もなく、突然言われた言葉に耳を疑った。

訊き返そうとして、ルフィが向けてくる真っ直ぐな視線に言葉が喉で止まる。
視線も逸らせず、唾を飲み込み、ゆっくりと口を開く。


「ありがと。私もルフィのこと好きよ」


そう言うと、ルフィは不機嫌そうに眉を寄せ、一歩、近付いて来た。

「・・・・・ナミ。おれはまじめに言ってんだ」

そう言うルフィの、いつもよりも低い声に小さく体が震えた。
それを、拳を握りしめることで何とか抑え、ルフィを半ば睨みつけるような視線で見上げる。

「私だって、まじめよ。私は──
「おれは」

大して大きな声でもない、寧ろいつもよりも小さなルフィの声にまた言葉が止まる。


「仲間としてじゃなくて、女としてナミが好きなんだ」


───っ!?」


その言葉に、目の前が真っ暗になった。
叫びそうになる心を抑えて、息を何度も吸う。


「私は、」


酷く掠れた声に気付かないふりをして、言葉を紡ぐ。

「私は、違う」

その言葉にルフィは目を細め、無言で私を見下ろした。
向けられる視線に、私の方が視線を逸らしそうになる。
でも、逸らしてはいけない気がして、必死に視線を固定させる。

「わたし・・・・・、は、」

たったそれだけの言葉を言うのがとても大変で、それでも続きの言葉を発するために口を動かす。


「あんたを、仲間以上だとは思わない」


そう言い、蜜柑の入った籠を持ち上げて立ち上がる。

「ナミっ!」

それと同時にルフィは残りの距離を詰め、私の腕を掴んだ。

「触らないで!」

その手を拒絶の言葉と共に、力の限りに振り払う。

驚いた顔をしたルフィは、でもすぐにその表情を消して、無言で払われた手を元に戻した。

「一つ、謝る」

異常に上がった呼吸をして、短い言葉を発する。

「さっきの嘘よ」

籠の紐を強く握り、逸らしそうになる視線をルフィに縫い止め、唇を噛んで波立つ感情を抑える。

「私はあんたのことが────

声が、体が、震えて、背中を冷や汗が流れる。




──────────大嫌いよ」




自分でも驚くくらいに冷たい声。

ルフィが何かを言うためか、口を開こうとしたけど。


その前に、

ルフィの前から逃げ出した。



 

恋や愛に浸るには、遅すぎた
(あんたがそんなこと言わなければ)(諦めることができたのに)

隣で、からんからんと下駄の音が鳴っている。

「お祭り、楽しかったね」

片手に小さな金魚の入った袋を提げた京子ちゃんが、そう言った。

「うん」

暗くて、京子ちゃんの表情がはっきりとは分からないけど、その言葉と声から笑顔でいることは分かる。

「海に花火に、夏祭り」

不意に京子ちゃんが単語を並べ始めた。

「キャンプに、プール。それと、宿題っ」

それは、夏休みの始めにリストアップした、夏休みにやることで。

「全部出来たね」
「結構頑張ったよね、オレ達」

京子ちゃんの言葉に、今年の、今までにもなく忙しかった40日間を思い出し、笑い混じりの声で返せば、

 

「来年も、みんなでやろうねっ」

 

京子ちゃんは、楽しそうにそう言った。


「今年したことも、してないことも」


そして、京子ちゃんはオレの手を握って笑った。


─────うん」


その言葉に、笑みと、


嘘を返す。

 

来年なんて無い。
なのに、叶うことのない約束をして。


でも、せめて今だけは笑っている京子ちゃんを見ていられるように。

今した約束。
オレが叶えることは出来ないけど。
誰か、他の誰かに叶えてもらって。

 

オレがいなくなったあとでも、

 


キミだけには優しい嘘を
(君が、笑っていられるように)

「ねぇ、桜のおまじないって知ってる?」
 

任務の帰り道、先を行く二つの背中にそう問えば、予想通りに否定の言葉が返ってきた。

「桜の花弁を掴むことができたら、願いが叶うのよ」

そう言えば、ナルトは足を止めて、顔を上げた。

「それだけでいいんだってばよ?それくらい簡単だってばよー・・・・・・・・お?」

そして、上から落ちて来る桜の花弁に手を伸ばし、それを掴む。
しかし、掴めたと思った花弁はナルトの指をかいくぐり、ひらひらと舞いながら地面に着地する。

「あぁーっ!今掴んだってばよ!?」
「ナルト、五月蠅い」

掴み損ねた花弁を見て、叫び声を上げるナルトに一言言い、

「あれ、サイ掴めたの?」

表情を変えないまま、落ちてくる花弁を次々と掴むサイに、声を上げる。

「うん。簡単だよ」

そう言いながら、サイはまた言葉通りに簡単に花弁を掴む。

「オレだって、掴まえてやるってばよ!」

それに挑発されたのか、ナルトは大声で叫び、がむしゃらに花弁を掴もうとし始めた。

「ったく・・・・・」

それを横目に溜め息をつき、顔を上げる。

 

自分と同じ名前の花が、無限に落ちてくる光景は、嫌になるくらいに幻想的で。

 

舞い落ちる花弁に手を伸ばし、手を握る。


開いた手の上には、


「あ」


ピンク色の花弁が、一枚。



「わっ」

不意に吹いた強い風に飛ばされそうになる花弁を慌てて握り、目を閉じる。

 

(サスケ君が、帰ってきますように)


心の中でそう唱え、目を開ける。

掴まえた花弁を、他と同じように宙に飛ばそうとして、


ひらり、と。


持った花弁の上に、もう一枚花弁が重なった。


そのことに驚いて軽く目を見開き、そして頬を緩める。

再び手を握って、未だに桜を掴もうとしているナルトを見ながら、桜に願う。



(ナルトが、怪我しませんように)



そして、二枚の花弁を宙に飛ばした。


 

桜の花咲く願い事
(何処の誰が叶えてくれるかは知らないけど)

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