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退屈な日常とか、虚像の世界とか
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隣で、からんからんと下駄の音が鳴っている。
「お祭り、楽しかったね」
片手に小さな金魚の入った袋を提げた京子ちゃんが、そう言った。
「うん」
暗くて、京子ちゃんの表情がはっきりとは分からないけど、その言葉と声から笑顔でいることは分かる。
「海に花火に、夏祭り」
不意に京子ちゃんが単語を並べ始めた。
「キャンプに、プール。それと、宿題っ」
それは、夏休みの始めにリストアップした、夏休みにやることで。
「全部出来たね」
「結構頑張ったよね、オレ達」
京子ちゃんの言葉に、今年の、今までにもなく忙しかった40日間を思い出し、笑い混じりの声で返せば、
「来年も、みんなでやろうねっ」
京子ちゃんは、楽しそうにそう言った。
「今年したことも、してないことも」
そして、京子ちゃんはオレの手を握って笑った。
「─────うん」
その言葉に、笑みと、
嘘を返す。
来年なんて無い。
なのに、叶うことのない約束をして。
でも、せめて今だけは笑っている京子ちゃんを見ていられるように。
今した約束。
オレが叶えることは出来ないけど。
誰か、他の誰かに叶えてもらって。
オレがいなくなったあとでも、
キミだけには優しい嘘を
(君が、笑っていられるように)
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