Repeat:
退屈な日常とか、虚像の世界とか
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ねぇ、桜のおまじないって知ってる?」
任務の帰り道、先を行く二つの背中にそう問えば、予想通りに否定の言葉が返ってきた。
「桜の花弁を掴むことができたら、願いが叶うのよ」
そう言えば、ナルトは足を止めて、顔を上げた。
「それだけでいいんだってばよ?それくらい簡単だってばよー・・・・・・・・お?」
そして、上から落ちて来る桜の花弁に手を伸ばし、それを掴む。
しかし、掴めたと思った花弁はナルトの指をかいくぐり、ひらひらと舞いながら地面に着地する。
「あぁーっ!今掴んだってばよ!?」
「ナルト、五月蠅い」
掴み損ねた花弁を見て、叫び声を上げるナルトに一言言い、
「あれ、サイ掴めたの?」
表情を変えないまま、落ちてくる花弁を次々と掴むサイに、声を上げる。
「うん。簡単だよ」
そう言いながら、サイはまた言葉通りに簡単に花弁を掴む。
「オレだって、掴まえてやるってばよ!」
それに挑発されたのか、ナルトは大声で叫び、がむしゃらに花弁を掴もうとし始めた。
「ったく・・・・・」
それを横目に溜め息をつき、顔を上げる。
自分と同じ名前の花が、無限に落ちてくる光景は、嫌になるくらいに幻想的で。
舞い落ちる花弁に手を伸ばし、手を握る。
開いた手の上には、
「あ」
ピンク色の花弁が、一枚。
「わっ」
不意に吹いた強い風に飛ばされそうになる花弁を慌てて握り、目を閉じる。
(サスケ君が、帰ってきますように)
心の中でそう唱え、目を開ける。
掴まえた花弁を、他と同じように宙に飛ばそうとして、
ひらり、と。
持った花弁の上に、もう一枚花弁が重なった。
そのことに驚いて軽く目を見開き、そして頬を緩める。
再び手を握って、未だに桜を掴もうとしているナルトを見ながら、桜に願う。
(ナルトが、怪我しませんように)
そして、二枚の花弁を宙に飛ばした。
桜の花咲く願い事
(何処の誰が叶えてくれるかは知らないけど)