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退屈な日常とか、虚像の世界とか

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海に出て十年。
未だに俺は偉大なる航路を制覇できていない。
色んな奴と出会って、色々と大変な目にも合ったりして。
それでもこの海の先には、まだまだ知らない所がたくさんある。

今まで諦めかけたことがなかった訳じゃない。

だけど、俺には仲間がいるから。

方向音痴な剣士も嘘つきな狙撃手も足技が最強なコックも小さな医者も謎めいた考古学者も変態船大工も骸骨の音楽家だっている。
なにより、お金に煩くて怒りっぽいけど、とびっきり優秀な航海士がいる。


だから俺は、いつか絶対に世界の全てを見ることができると信じてるんだ。





この世界の果てを僕は知らない
(さあ、冒険を続けよう!)

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きらいだ、キライだ、嫌いだ。

オレを見る、あいつらの目が。
あいつらという人間が。
オレを生み出したこの世界が。



「わあっ、お日様みたいな髪っ」

不意に鼓膜を叩いた楽しそうな声に瞼を上げ、目の前にいた先程の声の主であろう少女を睨みつけると、その碧色の瞳が僅かに開かれた。
そして。
「すごぉいっ!目は青いんだ!!綺麗っ!」
大きな歓声を上げ、その声の大きさと予想外の反応に目を瞬かせたオレを見ながらすごいを繰り返してにこにこと笑う少女から目を逸らす。

(こんな輝いた目知らない。)
(こんな綺麗な笑顔知らない。)

(調子が狂う。)


「ねえっ、一緒に遊ぼう!」


その言葉と共に差し出された小さな手に息を飲む。

「オレ・・と・・・?」
「うんっ!!」

開いた口から出した小さく震えた声に返ってきた何の迷いもない澄んだ声に、目の奥が熱くなって。
「あれ?どうしたの?」
「なんでもないってばよ!」
零れ落ちそうになった涙を慌ててシャツの袖で拭った。

 


こんな世界、大キライだけど。


「私、サクラっていうの。きみは?」
「オレは、ナルトだってばよ!」


(少しだけ好きになったかもしれない。)

繋がれた手の温もりに、密かにそう思った。

 

大嫌いなこの世界がキミと僕を出会わせた
(唯一の感謝を大キライなこの世界へ)

絶対に放さない。
誰にも渡さない。

半歩前を歩く灰原の姿を見ていたら、急にそんな想いが沸き上がってきて。

「ちょっと、江戸川君?」
不意にかけられた声に我に返り隣の灰原を見ると、灰原は迷惑そうに眉を潜めて俺によって握られた自分の手を見た。

「これは何なのかしら?」
「え、っいや・・・」
無意識の行動に咄嗟に言葉を返すことが出来ず口籠もると、灰原との間に変な空気が流れる。
動きの止まった俺に灰原は隠すことなく大きく息を吐き、掴まれた手を振りほどこうとして、
「手、あったまるかなって思って」
「はぁ・・・?」
慌ててその手を更に強く握った俺が紡いた言葉に眉を寄せて訝しげな表情をした。
「お前、手冷てえだろ。だから」
「あら、優しいのね。でも、結構よ」
そして灰原はやや吊り上げた目を俺に向け、早く放して言った。

「ああ、悪いな」
その視線に手を放すと、灰原は呆れたように本日二回目の溜め息を吐いた。

「・・・何笑ってるの?」
「ん、いや。別にー」
「・・・・・・・・変な人ね」

それを見て小さく笑った俺に一瞥をくれた後、灰原は遅刻するわよと言うと踵を返し歩き始めた。

(本当の理由、気づいてないんだろうな・・・)
その後ろ姿をしばらく見つめ、苦笑気味に笑うと随分離れてしまった灰原を追った。

 

とりあえず、笑っておこう
(彼女は鈍感だから、)(この気持ちを隠せるはず)

「あ、サクラちゃん」

人波の中、視界に捕らえた見慣れた背中に、考えるより先に声が出た。

「ナルト」

大して大きな声では無かったけれどどうやら届いたらしく、サクラちゃんは振り返っておれを見つけると、足を止めておれが追いつくのを待っていてくれた。
近付くとサクラちゃんは左手に色々な物が入った、大きな買い物袋を持っていた。

「買い物?」
「そうよ。あんたは?」
「散歩」

サクラちゃんに言葉を返しながら、その手から買い物袋を取り、再び歩き出す。

早足に追いついてきて小さな声でお礼を言ったサクラちゃんに笑い返した。

 


「ナルト」

だいぶ歩いて人気が無くなった時、それまでおれの他愛も無い話を訊いていたサクラちゃんが、不意におれの名前を呼んだ。

「なに?」

ちょうど話が一段落したところだったから、特に何を思うこともなく尋ね返し、

「あんた、何か隠してない?」

疑問型ながらも確信を持ったサクラちゃんの声に、頬が引きつった。

「べ、別にないってばよ・・・・?」
「嘘」

何とか言葉を返すも、切り捨てられる。

「う・・・」
「ほら、言ったら?」

何言っても殴らないから、とそう言って綺麗な笑顔で笑ったサクラちゃんに、体が強張る。
黙り込んだおれを、サクラちゃんはただ見つめ、その―何故か悲しげな―視線に覚悟を決めて口を開く。

「―腕、ごめんってばよ」

おれの言葉にサクラちゃんは視線を白い包帯が巻かれた、九尾化したおれが傷つけた左腕に向け、小さく息をはくとヤマト隊長?と眉を寄せてそう言った。
その問いに頷くと、サクラちゃんは再び不機嫌そうに息をはいた。

「ナル―」
「サクラちゃん」

何か言おうとしたサクラちゃんの言葉を遮り、名前を呼ぶ。
呼んだは良いが口籠もってしまい、頭の中のごちゃごちゃした想いをまとめて、ゆっくりと口を開く。

「おれ、またサクラちゃんのこと傷つけちゃうかもしれない」

ヤマト隊長にはああ言われたけど、またいつ九尾化するかなんて分からない。

だから、本当ならすぐにでもおれから離れた方が良いんだと思う。

だけど、おれは、まだサクラちゃんと離れたくない。一緒にいたい。


「だから、」

 

 

傷つけることしかできないけど
(これからも、隣にいて下さい)

海賊なんて、みんな死ねばいい。

自分達の欲しいものを手に入れるために争って、殺し合えばいい。
ただし、そこに一般人を巻き込むな。
死ぬなら、勝手に死ね。


そう思うくらいに、私は海賊という存在が嫌いだ。

それほどまでに嫌いな海賊船に乗るのは、八年前に奪われた私の大切なものを下劣な海賊から取り戻すため。

馬鹿な海賊共を騙すために感情を殺して相手に媚びいり、吐きそうになるほどの嫌悪感を抑えて仲間を騙り、信頼を得る。

それも全部、あいつとの取引金額である一億ベリーを、お宝を盗むため。


そのために、私は仮面を被る。
獲物を見つけ、騙し、盗みを果たすまで。


すべてを失ったあの日から、口から出たのは嘘ばかり。
笑い方なんてとっくに忘れた。

覚えたのは、人を、自分を騙すこと。

でも、そんなの構わない。
辛いのは、私じゃないんだから。

 

一億ベリーまで、あと少し。


誰にも、自分にも聞こえないくらいの小さな声でそう呟く。
私の隣には、数時間前に立ち寄り、一騒動あった町で手に入れた、五百万ベリーは下らないお宝が入った袋。
着実に、ゴールへと近付いていることを実感して自然に頬が緩んだ。


「なんか良いことあったのか?」

不意に上から降って来た声に、弾かれたように顔を上げると、

「?そんな驚いた顔して、どうした?」

視界に入ったのは、ついさっき私が直したばかりの麦わら帽子を被った、一時的に”手を組んだ”男の、ルフィの顔。

「あんた、近いっ」
「おい、押すなって」

ぐい、とその顔を押して自分から遠ざけると、ルフィは文句を言いながらも一歩後ろに下がり、そこに座った。

「で、なんかあったのか?」
「お宝が手に入ったから嬉しいのよ」
「えー、肉じゃねえのかよー」
「違うわよ!」

つまらなさそうに唇を尖らせてそう言ったルフィに怒鳴り返し、お宝を体の後ろへと回す。

「何してんだ?」
「お宝盗られないようにしてるの」
「しねえぞ。そんなこと」
「どうだか」

不満げなルフィの言葉を切り捨て、視線を下に落とし小さく息を吸う。

下らない会話はもう終わり。
そう思って、いつものように感情を殺そうとして、


「おれは仲間の大切なもの盗ったりしねえ」


ルフィの、やけに真面目な声に息が詰まった。


「・・・・・・あっそ」

僅かな間の後、小さな声でそれだけ返て、


今度こそ仮面を被った。

 

 

わたしは望んで仮面を被る
(すべては、失ったものを取り返すため)

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