Repeat:
退屈な日常とか、虚像の世界とか
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ナミ、おれのこと好きか?」
女部屋で読書をしていたら、それまで黙ってソファに座っていたルフィが唐突にそんなことを行った。
「うん」
その質問に少しだけ視線を上げてこっちを見てくるルフィを見て、ルフィが期待しているであろう答えを言い、再び手元の本に視線を落とす。
しかし、
「ほんとにほんとか?」
ソファから飛び降り、すぐ目の前にきたルフィは繰り返しそう言った。
「ほんとよ」
折角本が良いところなのに、二度も邪魔されて返す声が不機嫌なものになったが、何故かそれ以上にルフィの顔が不機嫌なものになった。
それを不思議に思う間もなく、
「きゃっ!」
手首が掴まれたかと思うと、次の瞬間には視界には無表情に近いルフィの顔と、その後ろに天井が。
押し倒されたことを理解して、抵抗しようとするが両手首はしっかりと握られていて全く動かない。
「ルフィ、何のつもり──────」
「好きなら、好きってちゃんと言えよ」
ルフィが言った言葉に開きかけた口が止まる。
そして、その言葉とルフィの行動によって導き出した結論に、思わず笑ってしまった。
「なに、拗ねてたの?」
笑いながらそう言うと、ルフィの頬が赤くなった。
確かに、私は滅多に好きなんて言わない。
それが、ルフィには気に入らなかったらしい。
「っるせぇ」
それが更に可笑しくて、笑いが再びこみ上げてきた。
「で、ナミはおれのこと好きなんだろ?」
「うん」
「じゃあ、言えよ」
「いや」
そう言って舌を出すと、ルフィの目が少し細くなり、それに気づいて体が強張った。
失敗したと思ったときには、唇を塞がれていた。
「ルフ・・・ぃっ!」
次いでシャツの中に侵入してきたルフィの手に、いつもより高い声が出る。
「やめ・・・・・!」
「ナミが言うまで止めない」
「わ、わかった!言うから!!」
いつもより低い、子供っぽさの抜けたルフィの声にほとんど叫ぶようにそう言う。
形勢逆転。
完全に、主導権はルフィに奪われていた。
「~っ」
滅多に言わないが故に、言うのが恥ずかしいが、すぐ前にあるルフィの目が催促をしていて、これ以上待たせると何されるか分からない。
意を決して、息を吸い口を開く。
「・・・・すき・・・・っ!!!」
そのたった二文字を言うだけで、信じられないくらいに顔が赤くなったのが自分でも分かった。
しかし、
「聞こえない」
唇を意地悪くつり上げたルフィから返ってきたのはそんな言葉。
「―っ、私は、ルフィが好きっ!!!」
反論しようとして、しかしルフィの表情でそれが無駄であることを悟って、自棄になって怒鳴るように言った。
言えば、
「おれもナミのこと好きだぞ」
ルフィはそう言って、さっきまでとは違って優しいキスを私の唇に落とし、嬉しそうに笑った。
その笑顔に、言おうとしていた言葉が全部なくなった。
今まで頑なに言うのを拒んでいたのが申し訳なく思えてきて、ルフィに謝ろうと口を開いて、
「って、何してんの!」
出てきたのは、再びシャツの中に手を入れてきたルフィに対する怒鳴り声。
「言ったら止めるって言ったじゃない!」
「んー?聞こえないー」
「ちょっ!ふざけないでよ、馬鹿っ!」
好きだなんて言わない
(でも・・・・・・たまには言ってあげるわよ)