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退屈な日常とか、虚像の世界とか
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きぃ
放課後いつものように神狩屋を訪れた蒼衣は、扉を開けて棚の間を横切る。
「こんにちはー」
そう言いつつ棚を抜けた蒼衣の視界に入ったのは、少し開けた場所に置かれたテーブル。
そして、
「雪乃さんっ!?」
椅子に座る雪乃。
その雪乃の姿を見て、蒼衣は思わず声を上げた。
その理由は、雪乃の白い肌がさらに青ざめていたから。
そして、雪乃が右手で左手を押さえていたから。
赫い血が流れる左手を。
「もしかして泡禍に遭ったの…!?」
「違うわよ」
駆け寄る蒼衣を雪乃は冷たい声で制すと、鞄から白い包帯を取り出す。
「でも血が…」
「切ったのよ」
手際良く左手に包帯を巻いていく雪乃の返答に蒼衣は小さく息を飲んだ。
「雪乃」
「五月蠅い。殺すわよ」
言葉を遮られた上に、物騒な言葉を言われた蒼衣は苦笑いをする。
そして近くの椅子に座り、雪乃の左手に巻かれた真新しい包帯を見ながら、頭の中で雪乃の言葉を反芻するのだった。
手首に巻かれた、雪にも似た白さの
(雪乃さん。あんまり自分を傷つけないでね。折角綺麗な肌なんだから)(───白野君、殺すわよ)
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