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退屈な日常とか、虚像の世界とか

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学校帰りに巻き込まれた事件を解決した三十分後、博士に用があって訪れた阿笠邸で、俺は非常に珍しいものを見ていた。

それは、ソファの上で熟睡する灰原の姿。

膝に雑誌を置いているところから、読んでいる間に寝たのだろう。
・・・なんて推理とも言えない思考を頭の中でして、それから改めて灰原を見下ろす。

(なんつーか・・・)

久々に見た起きている時とは違って無防備な表情をした灰原は。

「・・・・可愛い」

思わず考えが声に出てしまい、反射的に手で口を覆う。
小さな声だったためか灰原はぴくりとも動くことは無く、それを確認して小さく安堵の息を吐き出す。
その安らかな寝顔に少し口角を上げ、胸の奥から沸き上がった愛しさに、ソファの背に手を付いて灰原に覆いかぶさるように身を屈める。
そして、すやすやと眠り続ける灰原の顔に自分の顔を近づけて、

「ん・・・」

小さな呻き声を上げて身じろぎをした灰原に慌てて体を離そうとして、止めた。
「灰原」
耳元で名前を囁き、それによって意識を浮上させた灰原がゆっくりと瞼を上げるのを至近距離に見つめ、

「・・・・え、どがわ・・・くん・・・?」

俺の姿を視認して寝ぼけ眼で見上げてくる灰原の唇を掠め取るようにキスをする。
その瞬間、驚きに目を見開いた灰原ににこりと笑って口を開く。

「おはよう、ハニー」
「・・・何を言ってるの」

俺の台詞に灰原は目を半眼にして、呆れたように溜め息を吐いた。
 

----------------
甘めを目指してみました。なってるかな・・・?
新志とか書いてみたい今日この頃。
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