Repeat:
退屈な日常とか、虚像の世界とか
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「ヒカリ、お疲れ様っ!」
笑顔でそう言ったハルカを無言で見つめ、そして顔を逸らして溜め息を吐き出す。
「え、どうしたかも!?」
「ううん、ごめん・・・」
それを見て慌てるハルカに苦笑しながら言葉を返し、
「やっぱりハルカ強いなあと思いまして」
その言葉にハルカはきょとんとした表情になった。
「そんなことないって。それにヒカリの方こそ強くなってるかも!」
ハルカは照れ臭そうに笑いながら私の言葉を躱して、代わりに褒め言葉を返してきた。
その言葉はお世辞なのかもしれないけど、とても嬉しくて思わず頬が緩んだ。
ありがとう。
そう言おうと口を開き、
「キャーーっ!!!」
突如沸き起こった、甲高い歓声に声に出した言葉は掻き消された。
「シュウ様ーーーっ!!!」
次いで聞こえてきた名前にまたかと思いながら声がする方、一つだけ異常にギャラリーもとい女子率の高いバトルフィールドに視線を向ける。
そこでは二人のは男子生徒がバトルを行っていて、その片方──緑色の髪をした男子生徒が彼のポケモンであるロゼリアに指示を出す度にギャラリーから黄色い声が上がっていた。
歓声を一身に浴びる彼の名前はシュウ。
中等部からのエスカレーター組で、中等部の時はずっとコンテスト科の首席だったらしく、その実力は先生も一目置くほど。
おまけに容姿端麗、学業優秀、性格も二重丸だというから、本当に世界は不平等である。
そして、それだけ揃っていれば彼に惹かれる子は少なくないわけで、その数は学年、科、果てには学校を問わず数多存在しておりファンクラブまで結成されていたりする。
噂では彼に会いたい一心で入学、編入してきた子もいるとかいないとか。
今日までに耳に入ってきた、直接は交流のない男子生徒のデータを頭の中で思い起こし、そして視線を隣のハルカへと移す。
ハルカは周りと同じ様にシュウへと視線を向けていた。
ただし、ハルカの彼女の表情は何故か不機嫌なものだったが。
そして、それは黄色い歓声が上がるたびに濃くなっていく。
「・・・・・・ハルカ」
「!な、なにかもっ!?」
「あのね、」
そんなハルカを暫く眺めた後、小さく名前を呼ぶとハルカは随分慌てて返事をした。
もう見慣れてしまったその反応に、初授業の時から思っていたことを思い切って口にする。
「もしかして、っていうかもしかしなくてもハルカってシュウが・・・」
「あれっ?ヒカリ、ポッチャマは?」
「え?ポッチャマなら此処に・・・」
ハルカの言葉に足元へ視線を落とし、
「ええぇっ!!?」
さっきまでそこに座り込んでいたはずのポッチャマがいないことに目を見開き、大声を上げる。
その声に何人かが私を見たけど、それを気にする余裕もなく慌ててハルカを見る。
「ハルカ、私ポッチャマ探してくるっ!」
そしてそう告げるとハルカの返事も聞かずに走り出す。
「ヒカリ、気をつけてかも!」
「だいじょうぶっ!」
後ろから追ってきたハルカの声に後ろを振り返って言葉を返し、行方の分からないパートナーを見つけるべく強く地面を蹴った。
+++++++
これと前作は最初の予定じゃ書く予定の無かった話です。
もうしばらくはキャラが勝手に独走します。
20話になる前には予定通りの話にしたいなあ。