Repeat:
退屈な日常とか、虚像の世界とか
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「サボり発見っ!」
不意に鼓膜を揺らした、私の心の中とは正反対にどこまでも明るい声。
その声に瞼を上げた私の目には、愉しそうに笑うハルカの姿が写った。
「・・・サボりじゃないわよ。っていうか、ハルカこそ授業はどうしたのよ?」
「先生の都合で終わったかも!」
「あっそ・・・」
上体を起こしながらそう答え、ブレザーに付いた葉っぱを払う。
「で、カスミはなんでこんな所にいるの?」
隣に座ったハルカの問いかけに脳裏にアイツの姿を浮かべて、体の中で渦巻く苛立ちを発散すべく口を開いた。
「──────ってわけ。分かった?」
そして二分後。
愚痴を混じらせながら事の次第を語り終えた私に、ハルカは無言で一つ頷いた。
そんなハルカから空へと目を向けて、僅かに体の中に残った苛立ちを吐き出す。
「それにしても、サトシが何でそんなことを?」
「知らないわよ」
ハルカの言葉でサトシの不可解な行動を思い出して、返す声は自然と不機嫌なものになる。
「私はシンジと決着がつけたかったのに・・・」
「え、何か言ったかも?」
「う、ううんっ」
無意識に呟いた言葉に反応したハルカに慌てて首を振る。
(危なかった・・・)
ハルカに話した見学の理由の中で、私は一つ嘘をついた。
『余っていた子と組もうとしたら、サトシが割り込んできた』と、シンジの事は語らなかった。
そうしたのは、シンジを話したら先日のバトルのことを話さなくちゃいけないと思ったからで─────。
「・・・・・ねえ、カスミ」
「ん、なに?」
名前を呼ぶ声に思考を止めハルカを見て、ハルカの真剣な表情に目を瞬かせる。
「サトシと・・・・・何があったの?」
その言葉に、つい一時間前に同じ様な言葉を聞いたことを頭の片隅で思い出す。
一つ違うのは、ハルカは『何か』じゃなくて『何が』と聞いてきたこと。
そんなことを考えながら、小さく息を吸う。
「いつも通り、ただのつまらない喧嘩よ」
「嘘かもっ!!」
さっきまでと同じ様に、いつもと変わらない口調で言った言葉をハルカは強い口調で否定する。
「だって・・・・・う、上手くは言えないけど・・・カスミもサトシもこの頃なんかおかしいかも!!」
そして、言葉に詰まりながらもハルカはそう言い切り、睨みつけるように私を見た。
その視線を真っ直ぐに見返しながら、私はただ口を閉ざした。
そんな私にハルカは焦れたように再び口を開き、
「集合ーーっ!」
突如響き渡った笛の音と声に、体を強張らせ声がした方に顔を向けた。
ハルカと同じように視線を動かし、教師の元へと集まっていく生徒の姿に立ち上がる。
「カスミっ、まだ話が終わってな」
「ハルカー!!」
それに気づいたハルカは声を上げるが、離れた所から聞こえてきた名前を呼ぶ声に浮かしかけた体を固まらせた。
私と声が聞こえてきた方向を交互に見るハルカを尻目に足を進め、
「カスミっ!!」
背中にぶつかったハルカの声に足を止めて後ろを振り返る。
「ハルカ」
そして、怒りながら泣きそうな顔をしたハルカに口元を緩ませ、
「────ありがとう」
微笑いながらそう言って、再び響いた教師の声にハルカの声を振り切って走り出した。
+++++++
やっと書けましたー!!
なんだか無駄に長くなった気が・・・・。
夏休みが終わるまでにもう一話くらい書きたいと思ってるんですが、出来るか微妙なところです。
ううっ・・・なんでもう一ヶ月もないんだよおっ!