Repeat:
退屈な日常とか、虚像の世界とか
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「行ってきまーす」
慌ただしく玄関の扉を開けて、大きめの声で家の中に声をかける。
いってらっしゃいという言葉を聞きながら外へと飛び出して、学校への道のりを走り出した。
入学祝いにと新しく買ってもらったシューズはまだ足に馴染んでいなくて、何となく走りにくい。
だけど、こうやって足を動かすのが億劫なのはきっと今朝の、正しく言えば昨日のあれが原因だ。
意気揚々とこの道を走ったのは二十四時間前のこと。
春とはいえ、まだ少し冷たい風に小さく文句を呟き、不意に視界に入った桜の木に足が止まった。
『ごめん、サトシ』
それと同時に頭の中で響いたカスミの声に奥歯を噛み締め、拳を握る。
「サっトシー!」
と、その時後ろからかけられた声に拳を解き首を回すと、同じ高校の制服を着た女生徒が走ってくるのが目に入った。
見知ったその人物にふっと口元を緩め、口を開く。
「はよ、ハルカ」
そう言うと、隣まで来た中学以来の悪友であるハルカは、荒い呼吸をしながらおはようと言葉を返してきた。
そのままハルカの呼吸が元に戻るのを待つこと十数秒。
「あれ、ピカチュウは?」
やっと呼吸を整えたハルカが開口一番に言ったのはそれだった。
ズボンから携帯を取り出し時刻を確認して、歩き出しながら答えを口にする。
「家」
「へえ、珍しいかも!」
「そうか?」
やけに大きく反応をしたハルカに訝しげな表情を作ると、ハルカはにやりと口角を上げて、
「あぁ、もしかしてカスミとクラス離れちゃったからショックで寝てるとか?」
楽しげに笑いながら推測を述べた。
俺の拳が強く握られたことも知らずに。
「・・・んなわけねーだろ」
「全然あるかもっ!ピカチュウはサトシと違って素直だからね!!」
搾り出すようにそう言うとニヤつきを濃くしたハルカは意味深に笑って俺の反応を待った。
そんなハルカを一瞥して吐きだしそうになった溜め息を飲み込み。
「・・・何が言いてぇんだよ。つーか、遅刻するし先行くぞ」
そう言うとハルカの返事も待たずに学校へと向けて走り出した。
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ポケモン学パロ二話目です。
一応、一週間に一話くらいのペースを目標にやってければ・・・・とか思ってます。